映画を観続けていると、「ものすごいものを観た」という衝撃を受けることがあります。『スター・ウォーズ』(1977年)や『エイリアン2』(1986年)などがそうでした。『アンタッチャブル』もまさにそういう作品でした。
また、私にとって、『アンタッチャブル』は、映画を楽しむうえでの分岐点になった作品でした。それまで、SF映画に夢中だったのですが、『アンタッチャブル』をきっかけに、アクション、ドラマ、サスペンス、ミステリーなど非SF系の作品も映画館に見に行くようになったからです。『アンタッチャブル』の勧善懲悪のストーリーは、『スター・ウォーズ』を想起させました。私にとって『アンタッチャブル』は、アクション映画バージョンの『スター・ウォーズ』という位置づけになり、アクション映画を見る上での一つの基準になったのです。
私は、『アンタッチャブル』を高校生の時、京都の京都スカラ座で鑑賞しました。
1977年(日本では1978年)に『未知との遭遇』と『スター・ウォーズ』が公開され、「SF映画の時代」が幕開けました。1970年代末から1980年代は、数々のSF映画が公開され、まさに百花繚乱の様相を呈しました。そして、1987年、シンプルなストーリーとスタイリッシュな映像で風格ある作品に仕上げた『アンタッチャブル』は、「アクション映画の時代」の到来を告げる一作となりました。翌1988年(日本では1989年)には、『ダイ・ハード』が公開され、「アクション映画の時代」を決定づけます。この後、SF映画とともに数多くのアクション映画の大作・野心作が作られることになります。