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首都消失(その3&その4)

首都消失(1987年日本)

3. ストーリー

 ある夏の暑い日、高さ2km、半径30kmの円盤型の「雲」に東京はおおいつくされてしまいます。この「雲」によって、その内側との通信は、完全に遮断されました。北斗電機の朝倉達也は、名古屋から新幹線で東京へ向かう際にこの事態に遭遇します。朝倉は、新幹線の車内で旧友で航空自衛隊幹部の佐久間と再会します。そして、同じく車内で出会ったフリーキャスターの小出まり子も同行し、彼らは北斗電機厚木中央研究所へ向かいます。朝倉も小出まり子も、家族は東京にいて、連絡が取れない状態です。
 一方、大阪のKSテレビの報道マン田宮洋介は、謎の「雲」を撮影すべく、カメラマンとヘリで東京へ向かいます。朝倉は、恩師の大田原教授とともに「雲」の調査を開始します。その調査に田宮も合流、小出まり子をリポーターにして、テレビ中継をします。
 「雲」の謎が解けないまま、人々は、混乱、パニックを起こしていきます。政治も混乱し、アメリカが国連を介して、日本を信託統治する方向で動き出します。それに対し、大阪府知事の小室が動き、中田代議士を中心にした臨時代行政府を発足させることになります。 
 朝倉は、アメリカとの共同調査で、軍事用の最新センサーを搭載した電子偵察機EP-3Eに乗り込み、東京の「雲」の上空に出ます。センサーを「雲」に投下。「雲」の内部の状況をつかもうとしますが、突如発生した稲妻が、EP-3Eを直撃、墜落寸前になりながらもなんとか生還します。
 大田原は、データ解析の結果、雲を突破する可能性を見いだします。その可能性にかけ、人々は「雲」に挑んでいくことになります。

4. キャストとスタッフ

 朝倉達也に渡瀬恒彦。小出まり子に名取裕子。田宮洋介に山下真司。大田原に大滝秀治。佐久間に夏八木勲。中田に丹波哲郎。ほかに財津一郎、竜雷太、岸部一徳。地味ですが、重厚で豪華なキャストです。

 監督は、舛田利雄。日活で数々のアクション映画を手がけたのちフリーに。『二百三高地』(1980年)、『零戦燃ゆ』(1984年)などの戦争映画、『ハイティーン・ブギ』(1982年)、『エル・オー・ヴィ・愛・N・G』(1983年)などのアイドル映画、『宇宙戦艦ヤマト』(1977年)、『FUTURE WAR 198X年』(1982年)などのアニメ映画、『動天』(1991年)、『江戸城大乱』(1991年)などの時代劇、『片翼だけの天使』(1986年)、『天国の大罪』(1992年)などの文芸映画まであらゆる題材を映画化してきたヒットメーカーです。自身が別々の映画会社で監督した作品が2本、同日または、同時期に公開されるという経験を何度もしている監督です。

 特撮監督は、中野昭慶。海底シーンから都市の破壊、日本列島の壊滅に至る特撮シーン満載の『日本沈没』(1973年)、大作としてよみがえった『ゴジラ』(1984年)、ラストに巨大な宇宙人のマザーシップが登場する『竹取物語』(1987年)など代表作が多数あります。なかでも『連合艦隊』(1981年)の巨大な模型を使った戦艦大和の爆発シーンは、印象的です。

 音楽には、『アラビアのロレンス』(1962年)、『ドクトル・ジバゴ』(1965年)、『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990年)などで有名なモーリス・ジャールが起用されています。『首都消失』では、シンセサイザーを使った、印象的なテーマ曲を聴かせてくれます。映画を見るといつまでも耳に残る軽快な旋律です。モーリス・ジャールは、このあとも日本映画に参加。『クライシス2050』(1990年)、『落陽』(1992年)で音楽を手がけました。

『首都消失』(その5&その6)注目点①~映像化しにくい題材を映画化!~・注目点②~「雲」への接近でドラマが変わる!~