ジュール・ベルヌの『海底2万里』は、SF小説の古典です。この小説をディズニーが映画化した『海底2万マイル』(1954年)もSF映画の古典として知られています。
19世紀末、世界の海で次々と船舶が攻撃され、その解明のために、科学者のアロナクス、銛打ちの名人ネッドらが調査隊として派遣されます。船舶への攻撃は、謎の潜水艦ノーチラス号の仕業でした。アロナクスらは、ノーチラス号に捕えられ、ネモ船長とその命令に忠実に従う乗組員に出会います。ネモ船長は、地上への復讐という狂気に取りつかれていました。アロナクスらは、ノーチラス号からの脱出の機会を模索することになります。
『ブラックホール』のストーリーは、この『海底2万マイル』のストーリーを基にしているといえます。ネモ船長が、ブラックホール解明に取りつかれた狂気の科学者ラインハート博士に、アロナクスら調査隊が、パロミノ号のクルーに置き換えられています。また、ノーチラス号の死んだ乗組員を水葬にする場面があり、これは、ヒューマノイドが死んだ仲間を宇宙葬にする場面に変容されています。『海底2万マイル』の特撮を手がけたハリソン・エレンショーが、『ブラックホール』の特撮も担当というのもおもしろいですね。『ブラックホール』は、宇宙版『海底2万マイル』として楽しめます。