エキストラを用いた撮影には、CGではなく人が合戦を演じる本物の迫力があります。『天と地と』は、CGではなくエキストラで作り上げた合戦映画として、最後の作品になったといえます。
この作品の後、2000年に『グラディエーター』が作られ、史劇スペクタクルが2000年代中ごろまで、ハリウッドで再びブームとなります。VFX技術が発達し、CGを融合させることによって、それまで大量のエキストラを必要としたモブシーンを効率よく再現できるようになったのです。『トロイ』(2004年)、『キング・アーサー』(2004年)、『アレクサンダー』(2004年)、『キングダム・オブ・ヘブン』(2005年)、『300<スリーハンドレッド>』(2007年)などのフォロワーが作られ、同様のVFX技術はファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ(2001年~2003年)でも活用されました。
日本の本格的な<鎧もの>時代劇は、『天と地と』のあと、『のぼうの城』(2012年)まで待つことになります。この間のハリウッドのVFX技術による史劇映画作りという流れが影響を与え、『のぼうの城』は、VFX技術で水攻めのシーンや合戦シーンを再現していました。その後もこのジャンルはエキストラとVFX技術を融合させ、2016年には『真田十勇士』、2017年には『関ケ原』が作られています。<鎧もの>時代劇も21世紀になり、新時代に入りました。今後もこのジャンルの映画が作られることに期待したいと思います。
VFX技術隆盛前夜の1990年に、角川映画が総力をあげて作り上げた『天と地と』は、すべてエキストラで再現した最後の合戦映画として、今もその存在感を放っています。