1980年代末から1990年代初めは、日本人俳優の外国映画への出演が活発化した時期でもありました。
坂本龍一がベルナルド・ベルトリッチ監督の歴史大作『ラストエンペラー』(1987年)の音楽を担当し、同時に出演しました。『ラストエンペラー』は、大ヒットし、作品賞を含む9部門でアカデミー賞を受賞しました。坂本龍一もアカデミー賞音楽賞を受賞しました。スティーブン・スピルバーグ監督の戦争叙事詩『太陽の帝国』(1987年)には、伊武雅刀、ガッツ石松らが出演しました。リドリー・スコット監督の大阪を舞台にした刑事アクション『ブラックレイン』(1989年)に高倉健、松田優作、若山富三郎、内田裕也らが出演し、この作品も大ヒットしました。イギリスの戦争映画『戦場にかける橋2/クワイ河からの生還』(1989年)には、仲代達矢、高橋悦史らが出演しています。日米合作の『アイアン・メイズ/ピッツバーグの幻想』(1991年)には、村上弘明が出演。日中合作の『曼荼羅 若き日の弘法大師・空海』(1991年)では、永島敏行が主演し、空海を演じました。
香港映画にも日本人俳優が多く出演するようになります。ツイ・ハーク監督、チョウ・ユンファ主演の香港映画『アゲイン/明日への誓い』(DVDタイトル『男たちの挽歌Ⅲ アゲイン/明日への誓い』)(1989年)とツイ・ハーク製作の日本・香港合作映画『スパイゲーム』(1990年)には時任三郎が出演しています。チョウ・ユンファ主演のジョン・ウー監督作『ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌』(1992年)には、國村隼が出演。また、ジャッキー・チェン主演の『シティーハンター』(1993年)には、後藤久美子が出演しています。
日本人俳優が外国映画でも活躍するようになったこの時期に、西城秀樹主演の香港映画『天使行動』が製作されました。1987年の秋に香港で公開され、1989年の秋に日本で公開されました。1989年秋の興行で『ブラックレイン』、『戦場にかける橋2/クワイ河からの生還』と公開が重なり、日本人俳優の外国映画への出演を印象づけた思い出があります。
私は、『天使行動』を大学生のとき、京都の京劇で鑑賞しました。西城秀樹の活躍とノンストップで展開するハードアクションを楽しみました。