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デューン/砂の惑星(8)

デューン/砂の惑星(劇場公開タイトル: 砂の惑星)(1984年アメリカ 日本公開: 1985年)Dune

8. 見どころ③!~『旧約聖書』を思わせる救世主伝説!~

 『砂の惑星』は、『旧約聖書』の救世主の預言を思わせるストーリーです。1960年代、フランク・ハーバートの原作小説は「ヒッピーの聖書」とも呼ばれ、若者に熱狂的に支持されたそうです。原作小説は、5つの続編が書かれ宇宙を舞台にした新しい神話という趣になっています。
 クライマックスは、ポールに率いられたフレーメンが、サンド・ウォームを操り、岩壁のそばに停泊するシャダム4世大王皇帝の宇宙船に総攻撃をかける最終決戦が描かれます。ポールに率いられたフレーメンは、声<ヴォイス>の力で破壊力を生み出す武器を使います。声<ヴォイス>を使って、岩壁を破壊し、フレーメンが操るサンド・ウォームは、一気に皇帝の宇宙船に迫っていきます。
 『旧約聖書』の「ヨシュア記」にエリコの戦いが記されています。ヨシュアに率いられたイスラエルの民は城塞都市エリコを攻撃する際、神に言われた通り、6日間契約の箱(「十戒」の石板の入った聖櫃)を担いで城壁の周囲を回り、7日目に城壁の周囲を回ってから、角笛を鳴らし、ときの声をあげました。そうすると城壁は崩れ、イスラエルの民はそこからエリコに突入し、エリコを攻略できました。
 『砂の惑星』は、このエリコの戦いをモチーフにしているのでしょう。『砂の惑星』は、フレーメンの預言<救世主伝説>が実現していくストーリーです。救世主となるポールは、映画のはじめは、ガーニイ・ハレック、スフィル・ハワト、ウェリントン・ユエらメンターたちに指導を受ける世間知らずの青年として登場します。そのポールがアトレイデス家の崩壊、フレーメンとの出会いを通して、威厳と風格を備えていきます。ラストでは、かつて自分をテストしたベネ・ゲセリットの教母ヘレン・モヒアムも声<ヴォイス>の力で退けるようになります。したがって、『砂の惑星』は、救世主伝説であり、また青年ポールの成長譚でもあるのです。

『デューン/砂の惑星』(9)その後の『デューン/砂の惑星』は・・・