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奇蹟/ミラクル(6)

奇蹟/ミラクル(1989年香港 日本公開: 1989年)奇蹟

6. 見どころ①!~ストーリーがおもしろい!~

『奇蹟/ミラクル』は、それまでのジャッキー・チェン映画にはない魅力がたくさんあります。『プロジェクトA』(1983年)や『ポリス・ストーリー/香港国際警察』(1985年)などのそれまでのジャッキー・チェン映画は、ジャッキー・チェンの超人的な生身のアクションが見どころで、次から次へと繰り出されるアクションシーンがストーリーを形作るという映画になっていました。それがジャッキー・チェンらしさであり、他の香港アクション映画ともハリウッドのアクション映画とも異なるジャッキー・チェン映画のユニークさを生み出していました。
 それに比べて、『奇蹟/ミラクル』は、まずストーリーがおもしろいです。『奇蹟/ミラクル』は、誤解が誤解を生み、ドタバタを繰り広げる展開になっています。ジャッキー・チェン演じるコオが香港に着くなり一文無しになるのも詐欺師タンを信じたため。ギャングのボスになってしまったのも先代パクが死ぬときに「こんなひどい目にあったのはお前のせいだ」とコオを指さしたのを周囲が跡目に指名したと誤解したためでした(実は組織の参謀チャンは気づいていたのですが)。ヤンがクラブ・リッツで歌姫になったのも自分に借金があると誤解していたため。コオが敵ギャング・タイガー一味に追いかけられ、殺されそうになるのもタイガーに寝返ったフェイから、コオがタイガーの部下を殺したと言われ、タイガーがそれを信じたためでした。さらにホー部長刑事率いる警官隊は、コオが<マダム・ローズ>のために舞踏会を開こうと、ギャングたちに上流階級に見せかけるための練習をさせているのを抗争の準備だと誤解し、クラブ・リッツを包囲します。そもそもコオが東奔西走するのも<マダム・ローズ>が娘についてきたウソをばれないようにするためです。このように誤解が誤解を生むストーリー展開だからこそ、最後にコオがホー部長刑事の上司の長官や役人に本当のことを話すことによって奇蹟が起こるのが感動的です。正直な心によって奇蹟がもたらされるのです。

『奇蹟/ミラクル』(7)見どころ②!~人々の協力と善意が奇蹟を起こす!~