ジャッキー・チェンの演出も冴えており、アニタ・ムイがクラブ・リッツで歌を歌うミュージカルを思わせる場面の流れるようなカメラワークは華麗で見どころの一つです。クラブ・リッツ開店前の準備中のコオ、チャン、そこを訪れる<マダム・ローズ>の様子を捉えるワンカット長廻しの場面も見事です。
ドラマ重視の『奇蹟/ミラクル』は、ストーリーを丁寧に見せながら、そこにジャッキー・チェンらしい小気味よいアクションシーンがアクセントとして加わり、一級の娯楽作になっています。予算をかけた1930年代の香港の街角を再現したオープンセットも本格的。所々に登場するジャッキー・チェンの帽子をくるりと回す手さばきも粋です。軽快なテンポでドラマが進み、エンドロールに映し出されるお約束のNG集まで一気に楽しめます。