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逃亡者(1990年)(その8)

逃亡者(1990年アメリカ 日本公開: 1991年)Desperate Hours

8. 見どころ③!~3人の主人公が織りなす3つのドラマ!~

 『逃亡者』は、マイケルのコーネル家を人質に取った立てこもり事件の発生とその顛末を描いていますが、3人の主人公の3つのドラマとして楽しめます。
 まずは、マイケルのドラマです。凶悪な犯罪者ですが、IQも高い知能犯でもあります。コーネル家に侵入し、家族をあっという間に支配下に置きますが、コーネル家に長居することで仲間のアルバート、弟のウォリーとの結束が崩れていきます。実は、恋人のナンシーがいないとどうにもならない状態で、内面は脆いことが明らかになっていきます。狡猾なマイケルは焦りとともに偏執狂的になっていき、滅んでいきます。そんなマイケルをミッキー・ロークが独特の魅力を醸し出しながら演じています。
 次にティムのドラマです。マイケルに占拠された中で家族を守るためにマイケルと戦います。そして先述のようにティムは父親として復権し、壊れたコーネル家が再生していきます。アンソニー・ホプキンスが平凡ですが強い芯をもつティムを自然体で演じています。
 最後はFBI捜査官チャンドラーのドラマです。チャンドラーは優秀な捜査官。しかも常に堂々としています。ナンシーがマイケルと組んでいることを見破ります。また、アルバートに捨てられたエドの死体が発見されると、すぐにそのエリアを捕捉します。家に押し入って人質を取るというマイケルの手口を読んでいて、常に先手を打ちます。チャンドラーによるマイケルの立てこもり事件の捜査と解決のドラマとしても楽しめます。ベテラン女優のリンゼイ・クローズが風格を感じさせながらチャンドラーを演じています。
 マイケル、ティム、チャンドラーという3人の主人公による3つのドラマが並行して描かれている『逃亡者』は、それぞれの主人公の視点から観ることで異なる味わいを楽しむことができる作品でもあります。

『逃亡者』(1990年)(その1)1991年=サスペンス元年!は、こちら。