『オズ』は、ドロシーのオズの国への再訪の物語であり、旅の物語です。ドロシーは、仲間を増やしながら、オズの国を旅します。したがって、多彩なキャラクターが登場するところが、『オズ』の見どころの一つです。機械仕掛け、つまりロボットのティック・トックは、『スター・ウォーズ』のR2-D2を彷彿させ、そのあたりがいかにも80年代風です。背は高いのですが、内面はまだ子どものジャック・パンプキンヘッド、大鹿の頭にソファーなどをくっつけて出来上がったガンプも楽しいです。めんどりのビリーナはなかなかの皮肉屋で、笑わせてくれます。これらドロシーの新しい仲間たちに前作『オズの魔法使い』のスケアクロウ、臆病ライオン、ブリキマンが、アップデートされた造形で再登場します。敵役となる、ノーム王、モンビ王女、ホイーラーズたちは、不気味でダークなムードで、前作『オズの魔法使い』とは、異なるテイストを『オズ』に与えています。ラストには、モンビ王女によって鏡の中に閉じこめられていた、オズの国の正統な世継ぎであるオズマ姫が登場。実は、ドロシーがカンザスで、ウーレイ博士の病院から逃げる時に助けてくれた女の子が、オズマ姫だったことが明らかになります。ジャック・パンプキンヘッドはオズマ姫によって創造されました。ウーレイ博士の病院で、オズマ姫がハロウィーンのパンプキンをドロシーに手渡したのは、ドロシーがジャック・パンプキンヘッドと出会うことの予兆だったのです。観客はドロシーとともにオズの国を旅することになります。その旅で出会うキャラクターたちの魅力によって『オズ』は飽きることなく楽しめる作品に仕上がっています。