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バット★21(3)

3. ストーリー

 映画は、アメリカ戦略空軍(SAC)のアイシール・E・ハンブルトン中佐が、軍のゴルフコースでプレーしているところに、ヘリコプターがやってきて、基地に呼び戻されるところから始まります。コードネーム<バット-21>ことハンブルトン中佐は、電子兵器将校(EWO)でミサイル情報の専門家。したがって、トップシークレットともいうべき存在でした。
 1973年3月、北ベトナム軍は南への攻勢をかけていました。ハンブルトンが帰ってきた基地では、航空写真が分析されていて、北ベトナム軍が非武装地帯(DMZ)の南でベトコン(南ベトナム解放民族戦線)と合流し、何か所かで同時に攻撃を開始すると予測されていました。戦略空軍は、今、敵を攻撃し動きを封じ込めないと、陸上のアメリカ兵が大きな損害を受けると判断。爆撃機護衛のため敵のレーダー網を乱すことを部隊に命令します。それに対し、ハンブルトンは偵察機で、爆撃計画のルートを飛んで敵のミサイル基地を確認し、戦闘機にそこを叩かせることを進言します。ハンブルトンの進言が通り、電子戦機EB-66が偵察飛行することになります。EB-66には、作戦に志願したハンブルトンがナビゲーターとして乗ることになりました。EB-66は、敵の地対空ミサイル(SAM)を探知し回避しますが、2発目のミサイルが命中し墜落します。ハンブルトンは脱出しました。パラシュートで降下していくハンブルトンは、偵察機O-2のコードネーム<バード・ドッグ>ことデニス・クラーク大尉と無線で交信します。クラークは、アメリカ空軍戦闘救難チーム(OSCAR)に所属する前線航空統制官(FAC)で戦闘・救援活動を誘導する任に当たっていました。水田に着地したハンブルトンは、クラークに北の木立に逃げるように言われます。救援ヘリを待つというハンブルトンに自分の言うことを聞くように話すクラーク。水田のハンブルトンは、敵からの迫撃砲を受けます。北の木立に逃げるハンブルトンはクラークに救出を求めますが、クラークは明日救出すると言い、燃料切れのため引き上げました。水田では敵兵がハンブルトンのヘルメットとパラシュートを発見していました。
 基地に戻ったクラークは、指揮官のジョージ・ウォーカー大佐からハンブルトンが電子兵器の専門家で敵もマークしていることを聞きます。そして、今夜もハンブルトンの無事を確かめるために飛ぶように言われます。
 夜、ジャングルの中で地図を広げるハンブルトンのそばを敵兵が通ります。身を隠すハンブルトン。その後、クラークがハンブルトンの無事を確かめに舞い戻ってきます。ハンブルトンは信号でクラークに位置を示します。そして、無線で互いのことを話します。2人の無線は敵に傍受されていました。
 翌朝、ハンブルトンは高台に移動し、アメリカ軍が「ハリウッド交差点」と呼んでいる場所を敵の部隊が装甲車とカモフラージュした戦車とともに進んでいるのを目撃します。飛んで来たクラークに、敵の部隊を叩くように無線で言うハンブルトン。クラークは攻撃し、さらに「クラブ・ツリー」という暗号名の戦闘機部隊に攻撃を要請します。2機の戦闘機の攻撃で敵の部隊は壊滅します。そんな中、敵の負傷者が仲間によって銃で殺されるところをハンブルトンは見ます。ハンブルトンにとって初めて見る実戦の現実でした。クラークは、危険なエリアのため、救出は夜明けになるとハンブルトンに伝えます。我慢できないハンブルトンは独自のプランをクラークに話します。「ハーフの回り方は考えた。距離は10倍に換算しろ。ショウの3番、6番、8番ホール。マックディルの1番と17番。ヒッカムの2番、12番、14番、18番」と言うハンブルトン。理解できないクラークにコラット基地のダグラス大佐に聞くように言います。基地に戻ったクラークはバーで友人のヘリ・パイロット、ロス・カーバーと話します。
 ジャングルを歩くハンブルトンは民家に出くわし、そこで水を飲み、米を食べます。そこに家主が帰ってきます。刃物で家主が襲ってきたため、もみ合いになり、銃で殺してしまいます。この時、ハンブルトンは右足に傷を負いました。川で応急処置するハンブルトンは人を殺したことを悔やみ、慟哭します。
 基地では、ウォーカー大佐がクラークにハンブルトンの飛行は爆撃作戦の準備の偵察飛行だったこと、爆撃作戦の手引きを作ったのがハンブルトンだったことを話します。したがって、もしハンブルトンが敵に捕まれば、情報を聞き出すために、拷問を受けることは明らかでした。爆撃作戦は明朝7時開始で、ハンブルトンの居場所から周囲8kmにわたって行われる絨毯爆撃でした。ハンブルトンの命がないと憤るクラークに、ウォーカー大佐は、24時間の爆撃の延期を戦略空軍に説得したが、それが精一杯だと言います。一方で、ウォーカー大佐は、コラット基地にいるハンブルトンのゴルフ仲間のダグラスと話し、ハンブルトンのプランを解読していました。ハンブルトンが話した内容は様々な基地の9つのゴルフコースで、距離を10倍にしてそれらを地図に重ねることでハンブルトンの進路を辿ることができるというもの。ゴルフが趣味のハンブルトンは、無線で敵に進路を聞かれても解読できない方法を編み出していたのでした。
 そのころハンブルトンは足を負傷したため杖をついてジャングルを歩いていました。木にもたれて休息をとるハンブルトンの横を敵兵が数人歩いていきました。
 クラークは部下のメカニック、ランバウ軍曹に偵察機O-2の補助翼を修理してもらいます。そして、夜、クラークはあまりの疲労からくる居眠りと戦いながら、再びハンブルトンのもとに飛んで来ます。ゴルフコースを使ったプランを解読したことと、爆撃作戦が24時間延びたことをハンブルトンに伝えるクラーク。上空から水田を歩く敵兵を確認したクラークは、基地に座標を知らせ、爆撃を要請します。実行される戦闘機による爆撃。クラークはハンブルトンに解放区まで行くように言います。そして未明に救出すると言って基地に戻ります。
 翌朝、軽攻撃ヘリのコブラ・リーダーと大型ヘリのビッグ・スカイ、クラークの偵察機O-2がハンブルトン救出に出動してきます。湿地帯を杖をつきながら歩くハンブルトンは、目の前に民家が建ち並ぶ村があるのを見ます。村が安全かどうかをクラークが確かめたあと、ビッグ・スカイがハンブルトン救出のため近づいてきます。その時、村から隠れていた敵兵が現れ、ビッグ・スカイを攻撃し始めました。ビッグ・スカイからも兵が射撃を開始し、地雷を水田に投下します。戦闘は激しくなり、コブラ・リーダーは作戦中止を命令しますが、ビッグ・スカイに乗るロス・カーバーは、命令を無視して救出を続行しようとします。敵兵からロケット・ランチャーで攻撃されたビッグ・スカイはゆっくり降下し、離陸できなくなりました。ビッグ・スカイは敵兵に乗り込まれ、次々に兵が撃たれます。敵に取り囲まれるロス。負傷した仲間を肩で支えながら歩くロスにハンブルトンの居場所をはかせようとする敵兵たち。油圧をやられたため着陸できないコブラ・リーダーは、救援に行けません。敵に負傷した仲間を殺されたロスは、地雷がまかれた水田を歩かされます。地雷が爆発し負傷するロス。敵兵はロスを射殺しました。たまりかねたハンブルトンが飛び出してきて敵兵に銃を撃ちます。コブラ・リーダーに命令され、ハンブルトンにコースに戻るよう言うクラーク。コブラ・リーダーは、戦闘機による村の攻撃を要請します。ハンブルトンは、村には女性・子どもがいるから、攻撃を遅らせるようにクラークに言います。クラークはコブラ・リーダーにそのことを伝えますが、ハンブルトンに水田で殺されたのは自分の仲間だとも言います。村は戦闘機によって攻撃され、破壊されました。
 基地に戻ってきたクラークに、ウォーカー大佐は明日の午前7時に爆撃開始だと言います。ハンブルトンが川に逃げることを願うのみになったウォーカー大佐は、海軍に川に警備艇を回すように連絡していました。川に逃げるようハンブルトンに伝えに行くと言うクラークに、ウォーカー大佐は爆撃が終わるまで飛行禁止だと言います。
 ジャングルを杖をついて歩くハンブルトンは無線でクラークに話しかけますが誰も応答しません。無線で呼びかけるハンブルトンの声は敵に傍受されていました。木で作られた小道を歩くハンブルトンは1人のベトナム人少年とすれ違います。少年が急いで引き返してきて、ハンブルトンの杖を使って木の小道の仕掛けを押すと、人間を串刺しにする巨大な罠が跳ね上がりました。ハンブルトンは少年に救ってくれた礼を言い、ポケットから軍の備品をプレゼントとして渡しました。少年はそのお返しにかぶっていた雨除けの帽子をハンブルトンに渡します。
 基地ではクラークがロスの遺品からトランプを取り出し、一人めくっていました。
 夜、雨のジャングルで木陰に身を隠すハンブルトンの近くを敵兵の一隊が歩いていました。
 翌朝、クラークはランバウからヘリの操縦を教えてもらっていました。クラークにとってヘリの操縦は15年前に訓練を受けて以来でした。ランバウに見送られ、危なっかしくも離陸するクラーク。クラークを止めようとしたウォーカー大佐も、幸運を祈るとつぶやきます。爆撃作戦まで数時間。クラークによる決死のハンブルトン救出が実行されようとしていました。

『バット★21』(4)キャスト&スタッフ