スタッフもキャスト同様、日本・香港の混成チームが揃えられました。フジテレビジョンとゴールデン・ハーベスト社が共同で製作していて、プロデューサーは、レイモンド・チョウが当たりました。ゴールデン・ハーベスト社を率いるレイモンド・チョウは、『燃えよ ドラゴン』(1973年)でブルース・リーを世界的なスターにし、『プロジェクトA』(1983年)でジャッキー・チェンをカンフー・スターからアクション・スターへと脱皮させました。そのほか、サモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウ、マイケル・ホイらのホイ兄弟などを売り出しました。『孔雀王』は、ゴールデン・ハーベスト社が勢いに乗るころの作品です。
SFXプロデューサーに一瀬隆重。一瀬隆重は、同じ1988年の1月に公開された『帝都物語』(1988年)を製作し、注目されていました。豪華なキャストとスタッフが結集し、明治・大正・昭和初期というロマン溢れる時代を アクションとSFXで描いた『帝都物語』は、従来の日本映画を超えるスケール感があり、大ヒットしました。私も『帝都物語』に圧倒された一人で、一瀬隆重の次作に期待していました。今度は、『孔雀王』のSFXの総指揮を取ると聞き、期待が高まったものです。その後、一瀬隆重は、『リング』(1998年)、『らせん』(1998年)を製作し、Jホラーブームを作り出しました。
監督は、チョウ・ユンファ主演のSF冒険アクション『セブンス・カース』(1986年)で知られるラン・ナイチョイ。続編の『孔雀王/アシュラ伝説』でも監督を務めたほか、一瀬隆重が製作・監督を兼任した『帝都大戦』(1989年)では総監督を担当しました。
音楽はゴダイゴのメンバーで知られるミッキー吉野。劇中にはロクサーヌの主題歌”Burning through the night”をはじめ数々のロックアーティストによるナンバーが流れます。
また、『ガメラ/大怪獣空中決戦』(1995年)に始まる平成ガメラシリーズ(1995年~1999年)で特技監督を務め、『ローレライ』(2005年)、『日本沈没』(2006年)、『シン・ゴジラ』(2016年)などを監督し、ヒットメーカーとなった樋口真嗣がスタッフの一人としてSFXに参加しています。