• 映画の思い出を語っていきます!

キングコング2(6)

キングコング2(1986年アメリカ 日本公開: 1986年)King Kong Lives

6. 見どころ①!~怪獣映画は2作目が面白い!~

『キングコング2』は、前作『キングコング』(1976年)のラストシーンから始まり、前作との連続性を強調します。このあたり、『ゴジラ』(1984年)の続編『ゴジラVSビオランテ』(1989年)にも影響しているのかもしれません。『ゴジラVSビオランテ』のオープニングタイトルクレジットでは、前作『ゴジラ』のハイライトシーンが映し出され、前作との連続性がわかりやすく説明されます。そもそもオリジナルの『キング・コング』(1933年)の続編『コングの復讐』(1933年)も前作のクライマックスシーンから始まりますから、『キングコング2』はそれを意識したとも考えられます。
 前作『キングコング』もジョン・ギラーミン監督のスケール感溢れる演出で一級の娯楽作になっていましたが、やはり『キング・コング』(1933年)のリメイクという域からは出ないような印象が残ります。それに対し、続編『キングコング2』は、(『コングの復讐』をヒントにしているとは言えますが)前作のキングコング以外のキャラクターは自由に作り上げていて、全く新しい冒険と物語が描かれています。そして、その冒険と物語は、奇想天外な面白さに満ちています。1980年代に数多く作られたジェットコースタームービーの作りで、レディコングの登場、キングコングの復活、機動部隊との戦いなど冒頭からクライマックスまで見せ場が連続し、飽きることなく一気呵成に見せきる面白さがあります。したがって、私は前作より『キングコング2』に軍配を上げているのですが、だいたい怪獣映画は2作目が面白いといえるでしょう。平成ゴジラシリーズもその第1作『ゴジラ』(1984年)より第2作『ゴジラVSビオランテ』(1987年)が抜群の面白さでした。大森一樹監督と川北紘一特技監督という新世代の映画人が臨んだ『ゴジラVSビオランテ』は、ハリウッドのSF映画やアクション映画に匹敵するセンス・オブ・ワンダーの世界を映像化することに成功しました。平成ガメラシリーズは、第1作『ガメラ/大怪獣空中決戦』(1995年)から高い評価を得ていますが、私は軍事シミュレーション映画として一つの完成形を示した続編『ガメラ2 /レギオン襲来』(1996年)の方を推します。怪獣映画は、まず1作目で、出現した怪獣のキャラクター紹介に時間を割くことになります。したがって、その怪獣の存在が前提となって始まる2作目の方が、ドラマに入っていくのが早く、多くの見せ場を作り出すことができます。2作目の大きな魅力の一つに敵怪獣や新怪獣の登場があります。『ゴジラVSビオランテ』では、新怪獣ビオランテと、それに隠された秘密に作劇上の見どころがありました。『ガメラ2/レギオン襲来』にも敵として新怪獣レギオンが登場。1作目の敵怪獣は、昭和のガメラシリーズでおなじみのギャオスでしたが、2作目には、外骨格のデザインからしていかにもSF的なレギオンがガメラと対峙します。ガメラと自衛隊によるレギオンの駆逐が極めてリアルに描かれ、『エイリアン』(1979年)などのハリウッドのSF映画に負けない視覚的な面白さがありました。『キングコング2』には、キングコングに加えて、レディコング、そして息子のベビーコングが登場。キングコングに家族ができるというまったく新しいドラマが描かれます。前作『キングコング』は、身勝手な人間によって、髑髏島からニューヨークに連れてこられたキングコングが、ただただ人間に翻弄され絶命する物語でしたが、続編は、キングコングが愛するもののために戦う姿が描かれ、さらに感情移入しやすくなっていて、ドラマにエモーショナルな力強さがあります。
 そのドラマの映像化は、カルロ・ランバルディによるキングコングのSFXによって実現しました。前作『キングコング』では、実物大のキングコングが作られたことが話題になり、映画のプロモーションでも活躍しました。今回も同じように実物大のキングコング撮影用に用意され、宣伝にも使われました。そして、今回は、実物大のキングコングに加えて、レディコングも作られました。アトランティック大学に横たわるキングコング、そして毒ガスで眠らされ機動部隊に捕えられるレディコングのシーンなどにそれらが使われていて、スケール感をうまく出しています。また、実物大のキングコング、レディコングの腕、足などが別に作られ、レディコングの手がミッチェルに迫る場面や、キングコングの腕が機動部隊の装甲車を叩き潰す場面などに使われ、迫力があります。それら実物大のものを使いながら、キングコングやレディコングは、モンスタースーツ(縫いぐるみ)に入った俳優によって演じられました。キングコングを演じたのは、『人類創生』(1981年)、『グレイストーク ―類人猿の王者-ターザンの伝説』(1983年)、『愛は霧のかなたに』(1988年)などのピーター・エリオット。人間味を出しながらもヒトではなく、かといってサルでもないキングコングという唯一無二のキャラクターを渾身の演技で表現しています。キングコングの躍動感のある動きは、俳優が入ったモンスタースーツならではもの。『ジュラシックパーク』(1993年)でCGの恐竜がスクリーンに登場する7年前、まだミニチュアやマットアート、光学合成などが特撮の全盛期だったころに作られた『キングコング2』は、モンスタースーツや実物大模型、合成技術などがふんだんに取り入れられた、当時最先端のSFX映画に仕上がっています。

『キングコング2』(7)見どころ②!~キングコングは2度死ぬ!?~