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キングコング2(7)

キングコング2(1986年アメリカ 日本公開: 1986年)King Kong Lives

7. 見どころ②!~キングコングは2度死ぬ!?~

 冒頭に前作『キングコング』のラストシーンが映し出され、キングコングが世界貿易センタービルから落下し、絶命する場面から始まる『キングコング2』は、どこか死のイメージを漂わせながらドラマが進みます。人類は、最先端の人工心臓を用いてキングコングを復活させますが、身勝手にも近代兵器を使って、再び殺すことになります。キングコングの死から始まり、キングコングの死で終わるわけで、キングコングは映画の中で2度死ぬ(殺される)わけです。制御できない存在を制御しようとして、結局制御できないと知るや抹殺するという人間の愚を映画は私たちに訴えかけます。映画が描く人間の愚は、到底制御できないものを制御できると考える人間の過信であり、髑髏島から大都会に連れてきて殺したものを再び生き返らせ、また殺すという人間のエゴであり、そんなふうに希少な生命をおもちゃのように扱う人間の幼稚な性(さが)です。人間の愚によって、キングコングは悲劇的な最期を遂げます。しかし、その死は息子のベビーコングの生に受け継がれました。人間が近代兵器でキングコングを何度倒そうと、その生命は脈々と続いていくのです。したがって、この結末は、生命が人間の愚に勝利したことを意味しています。映画のラストシーンは、ボルネオで元気に過ごすレディコングと少し大きくなったベビーコング(キングコング・ジュニアと呼ぶべき?)の様子です。人類がレディコングとベビーコングに生息地を与えたわけで、制御できないものを自然にまかせるようになったことを示しています。人類はキングコングの悲劇から生命についてようやく学習し始めたといえるでしょう。
『キングコング2』の原題”King Kong Lives” (キングコングは生きている)は、キングコングの生命がベビーコングからさらにその子孫へ受け継がれていくことを示しているのでしょう。

『キングコング2』(8)見どころ③!~キングコングを守る者、狩る者!~