• 映画の思い出を語っていきます!

パニッシャー(1989年)(2)

パニッシャー(1989年オーストラリア 日本公開: 1990年)The Punisher

2. 『パニッシャー』=ノンストップアクション+『バットマン』

 日本では89年の2月に正月第2弾の興行として公開された『ダイ・ハード』(1988年)。この映画の登場が、ノンストップで展開される大がかりなハードアクション映画を ハリウッドのメインジャンルに押し上げるきっかけになりました。このあたりから「アクション映画の時代」が始まります。『ダイ・ハード』が公開されたころ、スティーブン・セガールの主演第1作『刑事ニコ/法の死角』(1988年)、アーノルド・シュワルツェネッガーがソ連の刑事に扮した『レッドブル』(1988年)、大阪を舞台にした『ブラック・レイン』(1989年)などの刑事アクションも製作され、話題を集めました。『パニッシャー』は、マーベル・コミック原作のアメコミヒーローものだということはほとんど触れられず、これらのアクション映画の潮流の中で作られたハードアクションの一つとして宣伝されていました(また、『パニッシャー』が、オーストラリア映画ということも認識していた観客はあまりいなかったのではないでしょうか)。確かに、マフィアと戦う元刑事が主人公ですから、『パニッシャー』も刑事アクションと言えなくもありません。また、『パニッシャー』は、『ダイ・ハード』のようなビッグ・バジェットを投じた大作ではなく、低予算のB級アクションですが、90分の上映時間を飽きさせずに見せ切ることに成功していて、作り手がノンストップアクションを目指した気概溢れる作品になっています。「アクション映画の時代」は、その後90年代に入り、『ダイ・ハード2』(1990年)、『クリフハンガー』(1993年)、『スピード』(1994年)、 『ダイ・ハード3』 (1995年)、『ブロークン・アロー』(1996年)、『ザ・ロック』(1996年)、『フェイス/オフ』(1997年)などの名作を送り出すことになります。そして、「アクション映画の時代」は、2000年代にファンタジー映画が量産されるようになるまで続きました。
 さて、89年の12月に日本で公開された『バットマン』は、大ヒットしました。バットマンは、幼少期に両親を犯罪者に殺された大富豪が、夜になるとコウモリのコスチュームを着て犯罪者を退治していくストーリー。パニッシャーも元刑事が妻子をマフィアに殺されたことから闇の処刑人となります。このあたり設定が似ています。『パニッシャー』は、『バットマン』公開の翌月の90年1月に公開されました。私は、DCコミックとマーベル・コミックというブランドの違いはありますが、『バットマン』に続くビジランテ(自警団)もの、またダークヒーロー『バットマン』のノンストップアクション版として『パニッシャー』を楽しみました。

『パニッシャー』(1989年)(3)『パニッシャー』3部作の第1作