秘密諜報部隊の活躍という、ジェームズ・ボンドなどのスパイ映画を思わせるアクション映画。全編アクションにつぐアクションで94分の上映時間を一気に見せる仕上がりになっています。アクションもカーアクション、銃撃シーン、カンフーによる肉弾戦とバラエティに富んでいます。
特に、中盤の組織の別荘への襲撃シーンは、大掛かりなアクションシークエンスになっていて、『男たちの挽歌Ⅱ』(1987年)のクライマックスのチョウ・ユンファらによる敵組織のアジト襲撃シーンを彷彿とさせます。ムーン・リーが階段を滑り落ちながら銃撃するシーンがあり、これまた『男たちの挽歌Ⅱ』の中盤でチョウ・ユンファが見せた同様のシーンを思い出させます。西城秀樹はというとヘリコプターから吊り下げられた縄梯子につかまり機関銃を乱射しながら派手に登場。屋敷に飛び込んだ西城秀樹は、続いてサム・ペキンパーばりのスローモーションによる銃撃シーンを見せてくれます。
ラストのムーン・リーと大島由加利のカンフーファイトは、血だらけになりながらの格闘シーンになっていて、バイオレンスのレベルも高くなっています。
このようにハードアクションの連続ですが、エレインのコメディエンヌぶりや、ムーン・リーと西城秀樹のキスシーンとそのあとに見せるムーン・リーの乙女チックな表情などホッとする場面も用意されています。発信機を仕込んだ腕時計や靴などのちょっとしたガジェットも楽しいです。
報酬を得たら超法規的な活動を繰り広げるというフリーの秘密諜報部隊<エンジェルズ>の設定がおもしろく、アクション満載でいつ観ても飽きない作品。フリーの秘密諜報部隊という設定は、近年の『キングスマン』シリーズ(2015年~2021年)と通じるものがあります。『天使行動』は、香港映画が一番元気で、日本の俳優の外国映画での活躍が目立ったころに作られた野心作といえます。