春来る鬼(1989年日本)

3. キャスト&スタッフ

“さぶろうし”を演じた松田勝(現・松田優)と”ゆの”を演じた若山幸子は、当時新人でした。松田勝は、ボディービルで鍛え上げた体で和製シュワルツエネッガーとも和製スタローンとも言われました。松田勝が見せる数々の生身のアクションシーンは迫力があります。くっくねの爺を演じるのは、「世界のミフネ」こと三船敏郎。頭屋に滝田栄。頭屋を補佐する巫女”口走りのばんば”に津島恵子。村の長老の一人”がんに”にハナ肇。村人の”のっぺ”に小島三児。新人の二人のまわりを地味だけれども演技派のベテランたちが固めています。 

『春来る鬼』を企画し、製作総指揮と監督を兼任したのは小林旭。日活映画のアクションスターで「マイトガイ」の愛称で親しまれ、歌手としても活躍。「熱き心に」は、大ヒットしました。若いころに小説『春来る鬼』に出会い、自分の主演で映画化しようとしましたが実現せず、25年間あたためてきた念願の企画でした。『春来る鬼』が小林旭の第一回監督作品になりました。
 第一回吉川英治賞に輝く須知徳平の小説『春来る鬼』を菊島隆三が脚本化。菊島隆三は、『野良犬』(1949年)、『隠し砦の三悪人』(1958年)、『用心棒』(1961年)、『天国と地獄』(1963年)などの黒澤明監督作品で知られる名脚本家です。
 美術の村木与四郎も同じく『蜘蛛巣城』(1957年)、『赤ひげ』(1965年)、『影武者』(1980年)、『乱』(1985年)などの黒澤明監督作品で知られています。そのほかの代表作として『日本沈没』(1973年)、『小説吉田学校』(1983年)など。
 音楽の佐藤勝も『隠し砦の三悪人』、『用心棒』、『赤ひげ』などの黒澤明監督作品を手がけています。そのほかにも『独立愚連隊』(1959年)、『日本のいちばん長い日』(1967年)、『風林火山』(1969年)、『華麗なる一族』(1974年)、『幸福の黄色いハンカチ』(1977年)など多彩な作品にスコアを提供してきました。

 小林旭念願の企画『春来る鬼』は、黒澤明監督作品で知られる日本映画の大御所たちの結集によって、映像化が実現したのです。

『春来る鬼』(4)見どころ①!~生命賛歌の物語!~

けんいち

管理人のけんいちです。 関西在住の映画の思い出ライター、映画グッズコレクターです。