タイトルに ”The Revenge” =「復讐篇」とつけたのもうなずけます。ホオジロサメにとってみれば、『JAWS/ジョーズ』、『ジョーズ2』で2度(『ジョーズ3D』も入れれば3度)、自分の種族をブロディ家に次々に倒されてきたわけですから、ブロディ家は復讐の対象です。一方、ブロディ家にとっても、マーティン、ショーンと次々に家族の命を奪ったホオジロザメは、復讐の対象です。ホオジロザメにとっての復讐とブロディ家にとっての復讐が、この”The Revenge” =「復讐篇」というタイトルの意味ということになります。
ブロディ家は、サメに取りつかれた一家でした。誰もが『ジョーズ』シリーズで描かれたブロディ家のようにサメに襲われ、サメと戦うという体験を何度も経験すれば、普通に社会生活を送れる状況にはならないでしょう。相当な精神的、肉体的ダメージを負うことになるからです。
したがって、『ジョーズ’87 復讐篇』は、サメに取りつかれたブロディ家が、サメと最終決戦をし、それに勝利。サメの呪いから解放されるストーリーなのです。エレンとマイケルが仲間のホーギー、ジェイクの力を借り、巨大ホオジロザメを撃退、エレンがホオジロザメにとどめを刺すときには、今は亡きマーティンが、第1作『JAWS/ジョーズ』で、ホオジロザメを血祭りにあげたシーンがインサートされ、まるでマーティンの魂がエレンに加勢しているようです。ブロディ家が心を一つにしてホオジロザメに勝利したのです。そして、エレンは、安心してアミティへ戻るのです。新しい生活を営んでいくのでしょう。
1975年の『JAWS/ジョーズ』から1987年の『ジョーズ’87 復讐篇』まで足かけ12年かけてブロディ家とサメとの戦いに終止符が打たれたことになります。ラストで、ブロディ家にようやく平穏が訪れます。だからこそ、ラストシーンでエレンが、アミティに戻る時の登場人物たちの笑顔、晴れ晴れとした表情がなんともいえない余韻を残すのです。