このところ鳴神響一の小説『エスパーニャのサムライ 天の女王』(双葉文庫、2020年)を読んでいます。17世紀のスペインを舞台に、日本のサムライが大活躍する物語で、すこぶるおもしろさです。登場人物をイメージしながらこの小説を読んでいると、ある既視感を覚えました。ああ、昔見た『兜/KABUTO』の世界と似ているなあ、と懐かしく思い出しました。『兜/KABUTO』は、日本人初のハリウッド100万ドルスターとして注目されたショー・コスギが原案と製作、主演の一人三役を務めた冒険活劇映画です。関ケ原の戦いの後、ショー・コスギ演じる前田大五郎が徳川家康の命を受け、スペインにマスケット銃を買い求めに旅立ち、数々の冒険を繰り広げるストーリーになっています。関ケ原の戦いで、火縄銃は雨では使えないことを知り、雨でも使える新型のマスケット銃を求めたのです。ショー・コスギ演じるサムライが、遥かヨーローッパで暴れまわるという、それまでの映画になかった発想で、視覚的に楽しいアドベンチャーロマンの世界が繰り広げられます。
私は、『兜/KABUTO』を大学生のころ京都の京極弥生座2で鑑賞しました。サムライが繰り広げる冒険活劇のストーリーとショー・コスギの迫力のアクションを楽しみました。