兜/KABUTO(1991年アメリカ・イギリス・日本 日本公開: 1991年)Shogun Mayeda(別タイトルJourney of Honor / Shogun Warrior)

5. ストーリー

 1600年、関ケ原の戦いで徳川家康の家臣・前田大五郎は、豊臣方の武将の火縄銃の威力に苦戦します。しかし、突然稲光がして激しい雨となり、火縄銃が使えなくなったことで、前田の率いる軍勢が豊臣方の武将の陣になだれこみ、勝利をおさめることができました。合戦の中で、前田は豊臣方の武将の片方の目を斬りました。
 前田が家康の四男・徳川頼宗の戦稽古をしたあと、頼宗とともに城へ帰ろうとしたとき、彼らは関ケ原の戦いで前田が片方の目を斬った武将率いる集団の襲撃を受けます。前田は反撃し、頼宗を城へ通じる抜け道に逃がしますが、前田の妻と息子が、頼宗の身代わりになり、犠牲になります。
 城へ戻る頼宗と前田。家康は妻子を失った前田に優しい言葉をかけます。家康は雨の時使えない火縄銃に代わる新式銃を手に入れたいと考えていました。そこで、家康は頼宗と前田に新式銃を手に入れるためにスペインに行くように命じました。家康が頼宗の教師として仕えさせているバスコ神父もスペインの宮廷に親しいとの理由で同行することになりました。実は、バスコ神父は豊臣方、つまり淀君に寝返っていました。布教と教会の建立を許すという淀君に従い、頼宗と前田を殺す策略を練っていました。
 スペインに向け、商船プリンス・オブ・オレンジ号に乗船する頼宗と前田。船上での外国の食べ物に戸惑ったりしながらも、旅は順調に進みます。しかし、嵐で船の前部に浸水が起こったとき、混乱に乗じて、船内に忍び込んでいた豊臣方の間者が、頼宗と前田に襲いかかりました。前田によって敵は倒されましたが、船に穴が開いたことで新式銃の購入に用意した小判はすべて海の中に消えてしまいました。船の浸水を止めようとしたクロフォード船長を前田が助けたことで、前田はクロフォード船長の信頼を得ます。クロフォードもかつて船が沈没して、妻と娘を失っていました。
 1602年、プリンス・オブ・オレンジ号はスペインのカデスに到着します。正装した頼宗と前田は、フィリップ王に日本最高の名刀オサフネと着物などを献上します。温かく前田らを迎えるフィリップ王。しかし、王の側近で実権を握るドン・ペドロは前田に敵意を向けます。新式の火打ち石式発火銃(マスケット銃)を手に入れたいという前田に、ペドロは銃を売らないと言います。ペドロはモロッコの太守で海賊の王でもあるエル・ザイダンと組み、王位を狙っていました。また、セシリアという婚約者がいました。王宮内の噴水に剣を刺し、剣に触れる花びらが裂ける様子を見せ、スペインの剣の切れ味を示すペドロ。それに対して、前田は自分の日本刀を同じように噴水に刺し念じると、刀から炎が出てきます。さらに騎士の甲冑のヘルメットを一刀のもとに斬りました。その様を見て皆は感嘆の声を上げます。
 庭でペドロが21発連続して発射できるという連射砲を披露します。その場を襲い、フィリップ王を殺そうとする集団が現れます。その集団を刀と連射砲で倒す前田。王宮内に戻ると、今度は前田がセシリアを侮辱したと言って、ペドロと前田の決闘が始まります。前田は勝利し、一度はペドロから奪った剣をペドロに返します。前田に命を救われ、ペドロとの決闘での前田の振る舞いに騎士道精神と通じるものを感じたフィリップ王は、5000挺のマスケット銃に連射砲を加えて家康に進呈することにしました。ただ、前田にそれらを日本国外では使用しないように約束させます。ペドロが前田にセシリアを侮辱したと言ったとき、実は前田はセシリアの首のロケットを見ていたのでした。それは、クロフォードの持つものと同じでした。セシリアはクロフォードが失ったと思っていた娘だったのです。セシリアを引き取った叔父がスペイン・ワインの輸入業者で、セシリアを広大なブドウ畑をもつペドロに売ったのでした。15年ぶりの再会を受け入れられないセシリアは、クロフォードを拒絶します。
 マスケット銃と連射砲の積み込みが進むプリンス・オブ・オレンジ号。セシリアも逃げてきて、荷物にまぎれて乗船していました。追ってきたペドロが出港停止を告げますが、頼宗はセシリアを日本に連れて行くと宣言し、プリンス・オブ・オレンジ号は出発します。裏ではバスコ神父がエル・ザイダンに前田がもらったマスケット銃と連射砲を奪うように持ちかけていました。
 バスコ神父が夜、船から明かりで合図を送っていました。それによってプリンス・オブ・オレンジ号は海賊のガレー船に追われ、襲撃されます。セシリアと銃を渡せば無事にすむというバスコ神父。船上で激しい戦いが繰り広げられますが、頼宗が捕まるに及んで、前田は降伏します。ガレー船を漕がされる前田、頼宗、クロフォードとプリンス・オブ・オレンジ号の船員たち。そして、モロッコのラバトに連れていかれ、一行は奴隷として働かされることになります。頼宗は馬小屋で働かされ、他の者は水汲み滑車を動かす労役に就かされます。海賊に一行とセシリアが捕えられたことを聞き、セシリアの身代金を要求されるペドロ。そして、ペドロはエル・ザイダンのもとにやってきます。エル・ザイダンとペドロはチェスをします。そこへ脱出してきた頼宗が現れ、チェスの邪魔をし、チェスの盤を滅茶苦茶にします。エル・ザイダンは頼宗とそれをかばうセシリアを斬ろうとしますがチェスで敗けるところだったと言って二人を許します。エル・ザイダンに斬りかかるペドロ。そのペドロを脱出してきた前田が蹴り飛ばします。
 前田は頼宗、セシリア、クロフォードら自分たち一行の航海と銃の安全をエル・ザイダンに約束させますが、エル・ザイダンはその条件として、前田とペドロを対決させることにします。
 翌日、いよいよ鎧兜のサムライ―前田大五郎―と甲冑を着た騎士-ドン・ペドロ―の対決が始まります。この対決の裏では頼宗が銃の船への積み込みと船員の乗船を進めていました。

『兜/KABUTO』(6)キャスト&スタッフ

けんいち

管理人のけんいちです。 関西在住の映画の思い出ライター、映画グッズコレクターです。