それまでのジャッキー・チェン映画では、ジャッキー・チェンは刑事や冒険家などのスーパーヒーローを演じていました。しかし、『奇蹟/ミラクル』でジャッキー・チェンが演じるのは、一人の気のいい青年。焦りもするし、慌てもする、また恋に奥手とたいへん人間味あふれるキャラクターです。ギャングのボスの振る舞いなどは、ウー・マ演じるチャンに指南してもらい、恋はアニタ・ムイ演じるヤンに引っ張られます。このあたりのスーパーヒーローではないキャラクターもジャッキー・チェンの新境地といえます。
ジャッキー・チェンとアニタ・ムイの恋愛模様が描かれ、二人が恋人となってから、<マダム・ローズ>のための一芝居が始まります。それまでのジャッキー・チェン映画では、派手なアクションとともにジャッキー・チェンが一人でトラブルや問題を解決するさまが描かれてきましたが、『奇蹟/ミラクル」では、ジャッキー・チェンとアニタ・ムイがコンビを組み、周囲の人々の協力によって、問題を解決していきます。これまた、ジャッキー・チェン映画では新しい要素でした。
さらにそれまでのジャッキー・チェン映画では、ジャッキー・チェンの超人的なアクションがクライマックスでした。しかし、『奇蹟/ミラクル』では、人々の善意によって奇蹟が起こります。アクションではないクライマックスもそれまでのジャッキー・チェン映画にはなかったことでした。