『戦場にかける橋』は、クワイ河沿いの日本軍捕虜収容所を舞台にした戦争ドラマでした。アレック・ギネス演じるイギリス軍のニコルソン大佐をリーダーとするイギリス軍捕虜に、クワイ川架橋工事をさせようとする早川雪舟演じる捕虜収容所の所長・斎藤大佐。斎藤大佐とニコルソン大佐の対立が、やがて相互理解へ発展し、ニコルソン大佐と捕虜たちは誇りをもって架橋工事に従事することになります。しかし、収容所を脱出したウィリアム・ホールデン演じるアメリカ軍のシアーズ中佐を道案内役にした部隊がクワイ河に建設された橋を爆破しようとします。
ニコルソン大佐、斎藤大佐、シアーズ中佐という三人の登場人物が生み出すドラマが見どころで、特にニコルソン大佐と斎藤大佐の間に友情のようなものが芽生えていくところが感動的です。戦争というあらゆるものを<破壊>する営みの中で、敵対する関係を超えて、橋を建設していくという<創造>の行為に私たちは、ある種の崇高さを感じることになります。しかし、ラストには破壊が待ち受けていて、それが戦争の無情感を私たちに与えます。
そんな戦争映画の名作『戦場にかける橋』は、クワイ河沿いの日本軍捕虜収容所という限定された空間が舞台でした。一方、『戦場にかける橋2/クワイ河からの生還』は、それとは対照的に、クワイ河沿いの日本軍捕虜収容所から、列車による陸路の旅、そして輸送船による海路の旅へと、ドラマの舞台を次々と移していきます。舞台を移しながら、冒頭にはアメリカ空軍による架橋工事現場の爆撃、列車の場面ではゲリラ戦、輸送船の場面では潜水艦による攻撃と輸送船上の戦い、と次から次へと<戦争のスペクタクル>を見せてくれます。一本の映画で空と陸と海の戦いをパノラマ的に描くという贅沢な作りになっています。
また、仲代達矢演じる原田少佐は、捕虜に対して温厚な人物に描かれています。エドワード・フォックス演じるイギリス軍のベンフォード少佐と原田少佐の間に相互理解のようなものが生まれていくところは、『戦場にかける橋』のニコルソン大佐と斎藤大佐の関係を彷彿とさせます。このあたり、『戦場にかける橋』へのオマージュを感じさせます。