対決(1989年アメリカ 日本公開: 1991年)The Fourth War

2. ポリティカル・スリラーで活躍したジョン・フランケンハイマー監督作品!

 監督はジョン・フランケンハイマー。人間ドラマ『終身犯』(1962年)や傑作刑事アクションの続編『フレンチ・コネクション2』(1975年)などの代表作がある監督ですが、ポリティカル・スリラーのジャンルで活躍したことでも知られています。洗脳された暗殺者を描く『影なき狙撃者』(1962年)、軍事クーデターを扱った『五月の七日間』(1965年)という傑作を初期に放ち、1970年代には『ブラック・サンデー』(1977年)を発表します。トマス・ハリスの同名小説を原作にした『ブラック・サンデー』は、アラブのテロリストとイスラエルのモサドの戦いをリアリティたっぷりに描いたハードアクションの秀作です。この作品は、日本では公開時に脅迫状が映画会社と劇場に届けられたため、劇場公開が見送られたことでも知られています(日本では2011年の「午前十時の映画祭」でようやく劇場公開が実現)。その後、ロバート・ラドラムの小説『ホルクロフトの盟約』を原作にした、ナチス将校の遺産をめぐる陰謀を描く『第三帝国の遺産』(1985年、日本未公開)を監督。そして、サスペンス『デス・ポイント/非情の罠』(1986年)と刑事アクション『サンタモニカ・ダンディ』(1989年)を経て、ジョン・フランケンハイマーが発表したのが『対決』です。西ドイツとチェコスロバキアの国境地帯を舞台に、米ソの兵士が衝突するミリタリー色の強いポリティカル・スリラーに仕上がっています。『対決』の後は、イタリアの「赤い旅団」をテーマにした『イヤー・オブ・ザ・ガン』(1991年)を監督。さらに晩年も仕える国を失ったはぐれスパイを描いたローバート・デ・ニーロ主演のアクション『RONIN』(1999年)を発表しました。『対決』は、生涯を通してポリティカル・スリラーを追求したジョン・フランケンハイマーが残した佳作の一つです。

『対決』(3)ストーリー

けんいち

管理人のけんいちです。 関西在住の映画の思い出ライター、映画グッズコレクターです。