ノールズとバラチェフという戦争に取りつかれた男たちが執念の戦いを繰り広げる『対決』ですが、ラストにハックワースのナレーションで次のアルバート・アインシュタインの言葉が登場します。
「第三次世界大戦でどのような武器が使われるのか、それは私には分からない。しかし、このことはいえる。第四次大戦は石ころが武器になるであろうと」(パンフレットより)
第三次世界大戦がもし起こるとすれば核戦争になり、文明は滅ぶと想定されます。文明を失った人間に残されるのは原始的なものだけで、第四次大戦では原始的な武器による戦いになるというのです。『対決』の原題 “The Fourth War(第四次大戦)”は、このアインシュタインの言葉から来ています。ノールズもバラチェフも戦争が生み出した怪物で、その無我夢中で戦い続ける姿は、文明に根差すことなく人間の闘争心という本能にしたがって生きる姿です。『対決』は、まさに2人の男が繰り広げる第四次大戦の顛末であり、戦いでしか自己表現できない男たちの姿を映し出すのです。