パニッシャー(1989年)(4)

パニッシャー(1989年オーストラリア 日本公開: 1990年)The Punisher

4. ストーリー

 映画は、マフィアのフランコ一家の幹部モレッティが、釈放されるところから始まります。モレッティは、5年前の警官殺しの罪に問われていましたが、控訴し、無罪を主張し続けた結果、釈放されたのでした。その街では、過去5年間で125人の組織犯罪者が、私刑という形で暗殺されていました。人々は、その暗殺者を処刑人”パニッシャー”と呼ぶようになっていました。つめかけたマスコミに、パニッシャーが現れたら自分が処刑してやる、とモレッティは言い放ちます。屋敷に帰ってきたモレッティは、侵入してきたパニッシャーに部下ともども殺されます。その銃声を聞いたマスコミが見つめる前で、屋敷は爆発します。一度は、マスコミの前にパニッシャーが姿を現しますが、再度の爆発と共に、パニッシャーは姿を消しました。
 下水溝の中の隠れ家でパニッシャーは、なぜ悪が生き延びているのか、正義とは何か、と神に問いかけます。パニッシャーの正体は、元刑事のフランク・キャッスル。フランクは、モレッティによって、愛する妻と2人の娘を殺されていました。家族を失ったフランクは、自らの手で悪人を処刑するパニッシャーになったのでした。
 モレッティの焼けた屋敷を捜査するジェイク・バーコビッツ警部補は、パニッシャーの正体が、かつての相棒フランク・キャッスルではないかと疑っていました。そこにかつてジェイクと一緒に働いたことのある刑事のサム(サマンサ)・レアリーがやってきて、ジェイクのパートナーになりたいと言います。実はサムも、パニッシャーはフランク・キャッスルだ、と思っていました。それを聞いたジェイクは、サムと組むことにします。
 フランコ一家を束ねるジャンニ・フランコが、帰国してきました。空港で待ち構えるマスコミに、パニッシャーはでっちあげだと言うフランコ。自宅に戻ったフランコは、1週間後に600キロのヘロインを仕入れ、5億ドルで売りさばく計画を立てていることを部下のジムに話します。フランコはまた、その計画に他のマフィアにも協力させることを考えていました。縄張り争いをやめ、マフィアを合併統合した後、邪魔者を排除するつもりでした。
 売れない役者のテスビアンは、パニッシャーにとって情報屋であり、同時に、唯一心を許せる友人でした。テスビアンからフランコのヘロインが、30号桟橋に来ることを聞くパニッシャー。
 30号桟橋では、フランコの部下がヘロインの上陸を待っていました。現れたパニッシャーはフランコの部下を1人1人血祭りにあげていきます。沿岸警備隊の船も近づいてきました。しかし、沿岸警備隊の船員は、別の船に乗った黒ずくめの集団に殺されます。黒ずくめの集団は、フランコの部下にも攻撃を仕掛けます。フランコ一味を倒していくパニッシャーも、黒ずくめの集団の攻撃を受け、海に転落しました。黒ずくめの集団は、街に進出してきた日本のヤクザ、レディ・タナカの一味でした。
 高層ビル内のアジトでフランコは部下たちと、タナカのスライドを見ていました。タナカは、ハーバード大卒の才女で、初めてヤクザの女親分になったという人物。フランコのアジトにタナカとその部下がやってきます。タナカは、フランコの組織を調べていました。フランコの統率力は低下し、部下の兵隊は弱体化していました。タナカは、フランコに提携を持ち掛けてきます。その提携は、タナカ一味が組織の経営管理を担い、フランコ一味は末端業務を担当するというもの。さらに利益は、タナカ側が75%、フランコ側が25%という配分でした。ヤクザの使用人になるか!と怒るフランコの部下たち。でかい顔をするな、とタナカに迫ったフランコの部下は、逆にタナカに腕を折られます。タナカは、これは提案ではなく要求だと言って立ち去ります。フランコはタナカとの戦争を決意しました。下水溝の隠れ家でパニッシャーは、フランコとタナカの会話をすべて聞いていました。
 ジェイクは過去5年間、フランクを探していて、この街の建物から路地裏まで調べ尽くしていました。街の下に注目したサムは、ジェイクと共に下水溝を調べることにします。
 フランコの部下の子どもたちが小学校や自宅から誘拐される事件が多発します。タナカ一味の仕業でした。タナカは、子どもたちを人身売買に使うつもりでした。パニッシャーは、下水溝をたどってやってきたテスビアンから子どもたちの誘拐を知ります。
 タナカに捕らわれている子どもたちの中には、フランコの息子のトミーの姿もありました。子どもたちを見に来たタナカに抵抗するトミー。トミーはタナカの部下に連れて行かれます。
 夜、タナカ一味が経営するクラブは客たちで賑わっていました。そこに天井のガラスを割って降り立つパニッシャー。ヤクザをナイフで次々に倒します。その中の1人に子どもたちを返さないと毎日被害が出ることを仲間に伝えろと言い残した後、パニッシャーは、機関銃でクラブを破壊しました。
 破壊されたクラブに捜査に来るジェイクとサム。警察は、フランコ一味の子どもたちを誘拐した容疑者はパニッシャーだと考えていました。フランクが、家族を殺されたことを知っているジェイクは、サムにそれは間違いだと言います。
 昼、パニッシャーはテスビアンをバイクに乗せて、テスビアンが子どもたちが捕まっていると言う遊園地に来ます。遊戯施設に入っていったパニッシャーは、黒ずくめの集団に襲われます。銃で戦うパニッシャーですが、バイクを鎖で引っ掛けられ転倒し、攻撃を受け気絶します。
 気がついたパニッシャーは、手足を拘束され拷問にかけられようとしていました。パニッシャーに店を破壊されたタナカが来て、パニッシャーは機械で腕と足を反対方向に引っ張られます。何とか耐えるパニッシャー。タナカはパニッシャーには拷問が効かないとわかると、横に寝かされていたテスビアンに同じ拷問をします。あとは部下のイトーに任せて出ていくタナカ。イトーがテスビアンを拷問している間にパニッシャーは手の拘束具をはずし、別の部下の銃を奪って反撃に出ます。イトーを逆に同じ拷問にかけ子どもたちの居場所を吐かせた後、パニッシャーとテスビアンは脱出します。
 夜、パニッシャーは、奪ったバスで、港に向かいます。港ではタナカの部下が子どもたちを船に乗せる準備をしていました。建物から子どもたちを連れ出そうとしていたタナカの部下を忍び込んだパニッシャーが倒し、子どもたちをバスに乗せます。子どもたちはトミーとキャシーがいないと言います。建物に戻ったパニッシャーは、檻に入れられているトミーを救い出し、廊下でキャシーを見つけます。タナカの部下がパニッシャーを見つけ、戦いになります。結果、キャシーは救えましたが、トミーは連れてくることができませんでした。子どもたちを乗せバスを発車させるパニッシャー。ヤクザの車がバスを追ってきます。パニッシャーは、バスの中に乱入してきたヤクザと戦い、さらに、追ってきた車を停車中のトラックに追突させて爆発させます。難を逃れたパニッシャーでしたが、バスの前には警官隊と多数のパトカーが待ち構えていました。ブレーキが効かなくなったバスを何とか停車させ、子どもたちをバスから降ろします。そして、パニッシャーは、銃を構える警官隊の前に降伏しました。
 パニッシャーが捕らわれている留置所にジェイクがやってきます。パニッシャーに変貌したフランクと再会するジェイク。かつて2人は、固い友情で結ばれていましたが、悪人を自らの手で処刑することに取り憑かれている今のパニッシャーは、ジェイクに心を開くことはありませんでした。
 5年間に125人を殺し、第1級殺人罪で裁かれることになったパニッシャーは、護送車で運ばれていました。護送車の中でサムは、パニッシャーにジェイクが苦悩していることを話します。しかし、護送車は、フランコの部下の襲撃を受けます。護送車に乗り込んできた男たちはサムを叩きのめし、パニッシャーを薬で眠らせます。
 パニッシャーが目覚めるとフランコとその部下が目の前にいました。フランコはパニッシャーに、家族を殺したことは間違いで、元に戻せるなら戻したいと釈明します。そしてフランコはパニッシャーに、息子トミーを取り戻すのを手伝ってほしいと頼みます。断るパニッシャーでしたが、フランコはパニッシャーの前に、ジェイクを連れてきます。フランコは、ジェイクを人質にしていました。
 ジェイクの命を救うためにフランコのトミー奪還に力を貸すことにするパニッシャー。パニッシャーとテスビアン、フランコの3人は、タナカ一味のアジトのあるビルに向かいます。パニッシャー、フランコ、タナカの三つ巴の戦いは、最終局面を迎えようとしていました。

『パニッシャー』(1989年)(5)キャスト&スタッフ

けんいち

管理人のけんいちです。 関西在住の映画の思い出ライター、映画グッズコレクターです。