アンタッチャブル(その9&その10)

アンタッチャブル(1987年アメリカ 日本公開: 1987年)The Untouchables

9. 『スター・ウォーズ』とそっくりなキャラクター造形!

 『アンタッチャブル』が「ギャング映画の新しいスタンダード」になったのは、わかりやすい勧善懲悪のストーリー展開に加えて、そのキャラクター造形にあります。
 キャラクター造形は『スター・ウォーズ』の影響下にあります。ジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』を創造する際、数多くの神話・英雄譚を研究し、キャラクターを造形したことは有名な話です。その結果、『スター・ウォーズ』のキャラクターとその関係性に普遍性が生まれたのです。
 『アンタッチャブル』のキャラクター造形は、『スター・ウォーズ』とそっくりです。
 主人公エリオット・ネスは、『スター・ウォーズ』のルーク・スカイウォーカー。エリオット・ネスのメンターとなるジミー・マローンは、オビ・ワン。エリオット・ネスを支える銃の名手ジョージ・ストーンが、ハン・ソロ。エリオット・ネスを支え、コメディリリーフも務めるオスカー・ウォレスが、C3-POとR2-D2を一緒にした役となります。圧倒的な存在感をもつ悪役アル・カポネがダース・ベイダー。アル・カポネの部下の殺し屋フランク・ニティは、『帝国の逆襲』(1980年)のボバ・フェットあたりでしょうか。
 キャラクター造形が現代の神話ともいうべき『スター・ウォーズ』を土台にしていると考えれば、『アンタッチャブル』にも同様の神話的な普遍性が見いだせるのは当然のことになります。

 そういった見方で『スター・ウォーズ』第1作(エピソード4/新たなる希望)と『アンタッチャブル』のポスターを見比べると、その二つがとても似ていることに気づきます。『スター・ウォーズ』は、ライトセーバーを上にかかげるルーク・スカイウォーカーの横にレイア姫、さらに左にR2-D2、C-3POが描かれ、後ろにダース・ベイダーのヘルメットが大きく描かれています。『アンタッチャブル』も銃をかまえるエリオット・ネスの左右にマローン、ストーン、ウォレスが描かれ、後ろにアル・カポネの顔が大きく描かれています。このあたりもそっくりですね。

10. 新しいギャング映画のスタンダード!

 『ゴッドファーザー』シリーズ(1972年~1990年)が、ギャング(マフィア)の抗争、家族関係を主題にしたのに対し、『アンタッチャブル』は、神話的な普遍性というアプローチからキャラクターを創造し、わかりやすい勧善懲悪のストーリーに仕上げました。ですから、『アンタッチャブル』は、新しいギャング映画のスタンダードとなったのです。
 ギャング映画の中でも、『アンタッチャブル』は、ギャングを取り締まる側とギャングとの戦いを描いています。その後もこのテーマの映画は作り続けられます。『ヒート』(1995年)、『パブリック・エネミーズ』(2009年)、『L.A.ギャングストーリー』(2013年)など。どの映画にも『アンタッチャブル』の残像を見出すことができます。

『アンタッチャブル』(その1&その2)衝撃の作品!・「SF映画の時代」から「アクション映画」の時代へは、こちら。

けんいち

管理人のけんいちです。 関西在住の映画の思い出ライター、映画グッズコレクターです。