モロ元首相誘拐は、上司ベルニエのアイデアの借用でしたが、そのアイデアに特別な何かを感じた点で、デヴィッドは、世相を読む力があったことになります。それは、デヴィッドが、外国人であるからこそ、目の前のイタリアの現実を より客観視できていたためかもしれません。しかし、外国人であるからこそ、いかに危険な世界を小説化しているか自覚がなかったともいえます。アリソンも、外国人カメラマンゆえに、イタリアの現実を大胆に切り取っていくことになります。小説を出したいデヴィッドと、スクープ写真をものにしたいアリソン。二人は、「赤い旅団」にマークされ、悪夢のような体験をすることになります。野心溢れる二人は、あまりにも危険な場所で名声を求めすぎたといえます。