イヤー・オブ・ザ・ガン(その13)

イヤー・オブ・ザ・ガン(1991年アメリカ 日本公開: 1991年)Year of the Gun

13. 見どころ③!~四人全員が隠された目的を持つ!~

 デヴィッド、アリソン、リア、イタロは、四人全員が隠された目的を持っています。友人・知人を登場人物にした「赤い旅団」の小説を書いているデヴィッド。アリソンは、デヴィッドよりも、自分の野心を表に出していますが、デヴィッドの過去を調べ、デヴィッドが小説を書いていると察知するや、無断で原稿を探し出します。デヴィッドに近づいたのも、自分に利があることを計算してのことだといえます。イタロは、「旅団」のメンバーで、アリソンやデヴィッドのことを 逐一同志のジョバンニに報告していました。同じく「旅団」のメンバーだったリアは、イタロの監視役で、市民生活の中に潜入する役目を負っていました。リアにとっては、DV夫のルチオと夫婦というのも、実は疑いの目を欺くためには、好都合でした。四人の関係は、互いの秘密が暴かれたときから、崩壊へと進んでいきます。
 
 ラストに向けて、信頼する隣人が裏切り者だったという、映画やドラマでよくある展開が続きます。しかし、実は、信頼する友・恋人の裏切りを目の当たりにすることこそ、人間にとって一番恐ろしいことだといえます。ですから、こういったストーリー展開が多用されるのでしょう。
 
 デヴィッドが小説で予言したモロ元首相誘拐は、実行に移されます。テロの恐怖を映画はまざまざと見せつけます。しかし、一方で、リアは裏切り者として、「旅団」に殺されます。テロ組織が、内部で粛清やリンチ、内ゲバを繰り返し、自滅していくことを暗示しているようです。

『イヤー・オブ・ザ・ガン』(その14)見どころ④!~メディアをめぐるドラマ!~

けんいち

管理人のけんいちです。 関西在住の映画の思い出ライター、映画グッズコレクターです。