第5惑星(その9&その10)

第5惑星(1985年アメリカ 日本公開: 1986年)Enemy Mine

9. 宇宙版『太平洋の地獄』?

 『第5惑星』は、よく『太平洋の地獄』(1968年)と比較して語られます。『太平洋の地獄』は、太平洋戦争末期の無人島を舞台にした戦争映画です。三船敏郎演じる日本軍兵士とリー・マーヴィン演じるアメリカ軍兵士が事故で無人島に流れつきます。最初は争いますが、無人島で生き延びるためにやがて、協力し合い、友情のようなものが芽生えるというストーリーです。確かに『第5惑星』とその原作「わが友なる敵」は、『太平洋の地獄』を下敷きにしているのでしょう。そして、『第5惑星』も『太平洋の地獄』も異文化間のコミュニケーションをテーマにしているのは明らかです。『第5惑星』と『太平洋の地獄』はストーリーの骨格はよく似ているものの、『第5惑星』の世界観は異文化間のコミュニケーションをより突っ込んだ形で描いています。

10. 原作が描く世界観

 『第5惑星』の世界観が異文化間のコミュニケーションをより突っ込んだ形で描いていることは、原作の『わが友なる敵』を読むと明らかです。映画『第5惑星』と原作『わが友なる敵』は、ラストが大きく異なります。『わが友なる敵』では、ザミスとはぐれたダビッジは、ドラコン星に赴き、ジェリバ・シガンの死で家系が途絶えたと思われていたジェリバ家が、ザミスの存在によって途絶えていないことを証言します。その時、ジェリバに教えられていたジェリバ家の200代前からの家系を暗唱します。そして、地球人びいきとして、再教育を受けていたザミスを探し出し、再会するのです。

『第5惑星』(その11&その12)映画のラストの意味・宇宙アクションの野心作!

けんいち

管理人のけんいちです。 関西在住の映画の思い出ライター、映画グッズコレクターです。