ダーク・エンジェル(その1&その2)

ダーク・エンジェル(1990年アメリカ 日本公開: 1990年) Dark Angel (別タイトル I Come in Peace)

【『エイリアン・ネイション』に続くSF刑事アクションの佳作!】

1. 『ターミネーター』が切り拓いたSFアクション映画ジャンル

 低予算で作られたSF映画の中に、傑作が隠れていることがあります。人間に寄生するエイリアンと捜査官の戦いを描いた『ヒドゥン』(1987年)などは、その代表例でしょう。ジェームズ・キャメロンの『ターミネーター』(1984年)は、日本では大作のような形で公開されましたが、これも低予算のSF映画。その後、5作も続編が作られる一大フランチャイズになりました。
 『ターミネーター』は、たとえ低予算でも、アイデアしだいで映画は大成功する、ということを証明しました。1980年代後半から1990年代前半は、『ターミネーター』の成功に続け、とばかりに低予算のSFアクション映画が、多く作られました。
 シリーズ化された『クリッター』(1986年)、前述の『ヒドゥン』(1987年)、名作のリメイク『ブロブ/宇宙からの不明物体』(1988年)、根強いファンが多い『ゼイリブ』(1988年)、TVシリーズに発展した『エイリアン・ネイション』(1988年)、ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演の『サイボーグ』(1989年)、「ハイヒールを履いたターミネーター」という宣伝文句が楽しい『イヴ』(1991年)、人間とサイボーグの戦いを描く『ネメシス』(1992年)などが次々と公開され、SFアクション映画ジャンルは、活況を呈しました。
 『ダーク・エンジェル』もまた、低予算のSFアクション映画で、日本ではひっそりと公開されました。『ヒドゥン』のような高い評価は得られませんでしたが、気楽に楽しめるSFアクション映画の佳作に仕上がっています。また、映画の大半を夜の場面が占め、そのあたり『ターミネーター』を彷彿とさせました。

 私は、『ダーク・エンジェル』を大阪梅田の三番街シネマ3で鑑賞しました。観客は、数えるほどでしたが、私は、結構楽しみました。

2. ドルフ・ラングレンの回し蹴りが何度もきまる

 主人公は、ドルフ・ラングレン演じるヒューストンの刑事。
 ドルフ・ラングレンは、『007/美しき獲物たち』(1985年)でデビューし、『ロッキー4/炎の友情』(1985年)でロッキーの対戦相手のドラゴを演じて注目され、人気が出ました。ドルフ・ラングレンは、極真空手とキックボクシングの名手で、その迫力の肉体アクションを強調して、「人間核弾頭」という宣伝文句がつけられました。
 『マスターズ/超空の覇者』(1987年)、『レッド・スコルピオン』(1988年)、『パニッシャー』(1989年)と主演作が次々に公開されました(日本では、『レッド・スコルピオン』『マスターズ/超空の覇者』『パニッシャー』の順で公開)。『ダーク・エンジェル』は、ドルフ・ラングレン演じる刑事が、エイリアンと戦う、それもまさに肉弾戦を繰り広げる一編です。迫力の回し蹴りが映画の中で何度もきまります。
 ですが、それまでの主演作と比べると、もっとも人間味あふれる役柄でした。ソ連の特殊部隊員(『レッド・スコルピオン』)、アクション・フィギュアが原作の宇宙のヒーロー(『マスターズ/超空の覇者』)、アメコミ原作の処刑人(『パニッシャー』)に対して、『ダーク・エンジェル』の刑事は、恋人もいて、相棒もいて、上司もいるという現実的な役柄。ドルフ・ラングレンの新境地といえる作品になっていて、新鮮でした。

『ダーク・エンジェル』(その3&その4)『エイリアン・ネイション』に続くSF刑事アクション・エイリアンが欲しいものは、人間の快感ホルモン!?

けんいち

管理人のけんいちです。 関西在住の映画の思い出ライター、映画グッズコレクターです。