1976年の『キングコング』のラストで、キングコングは、ニューヨークを舞台に、ジェシカ・ラング演じる女性ドワンを守るため、アメリカ軍と激闘を繰り広げます。そして、世界貿易センタービルから落下し、死んでしまいました。それから10年。1986年に映画雑誌で『キングコング2』が作られると知ったとき、私は驚きました。まず浮かんだ疑問は、死んだキングコングがどのように復活するのか? 何と、キングコングは、正確には死んだのではなく、今も昏睡していて、最新の人工心臓移植で復活!このことがわかったとき、私の期待は大きく膨らみました。どんなストーリーが描かれ、キングコングはどのような活躍をするのか。1976年の『キングコング』をテレビ放送で観て楽しんだ私にとって、『キングコング2』は待望の続編でした。
『キングコング2』は、1986年12月に1987年のお正月映画として、『トップガン』(1986年)、『ハスラー2』(1986年)という2本のトム・クルーズ主演作、『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』(1986年)、『ナビゲイター』(1986年)などの大作と一緒に公開され、大いに気を吐きました。『メカゴジラの逆襲』(1975年)から9年ぶりに作られた『ゴジラ』(1984年)でゴジラが復活しましたが、それ以外は怪獣映画が久しく作られていなかったときでもありました。
私は高校生のころ、『キングコング2』を京都の京都松竹座で鑑賞しました。愛するもののために戦うキングコングとキングコングを見守る冒険家、女性外科医が織りなすエモーショナルなドラマを大いに楽しみました。私が鑑賞したとき、映画館は満員だったことを覚えています。1986年は、レンタルビデオの普及についてはまだまだ初期であり、同じ映画を何度も観る機会は少ないころでした。映画館の私の席の近くに、キングコングをスケッチしながら鑑賞している人がいたことも印象に残っています。