『孔雀王』は、次々に新たなキャラクター、そして新たな舞台が登場し、視覚的な楽しさに溢れています。同時に、テンポが速く、観客は、96分の上映時間を疾走することになります。
ストーリーも、アシュラの行方を追いながら、やがて、孔雀とコンチェの出生の秘密が明かされるという、一種の謎解きへと収斂していくので、観客を飽きさせません。
SFXを駆使した孔雀の法力と、コンチェが繰り出すアクションが、次から次へと見せ場を作り出し、SFXとアクションがストーリーを進めていきます。
特に、チベットのラマ寺院に宮毘羅と裏高野十二神将が到着し、ジグメを殺すくだりからクライマックスの孔雀・コンチェと皆魔障外神の対決まで、SFXとアクションによる見せ場の連続で、一気呵成に見せ切ります。それまで登場してきたキャラクターが一堂に会するところも圧巻で、対立を乗り越え、全員が究極の魔の前に共闘するにいたるわけで、観客の心も当然揺さぶられることになります。
また、邪神殿で倒されたと思われていた羅我が、ラストの地獄門の場面で再登場するのも、意外なおもしろさがあります。孔雀、コンチェとの戦いで負傷した姿で登場するわけですが、人間からモンスターへの変身シーンが強烈なインパクトを残す羅我が、最後まで大暴れし、十二神将を蹴散らすあたり、SFXファン、モンスターファンを大いに楽しませてくれるといえるでしょう。