3人のゴースト(2)

3人のゴースト(1988年アメリカ 日本公開: 1988年)Scrooged

2. キャスト&スタッフ

 『3人のゴースト』は、『クリスマス・キャロル』を原作にしていますが、物語の舞台や設定は、原作とずいぶん異なります。『クリスマス・キャロル』のパロディともいうべき映画で、コメディに仕上がっています。舞台は、世界最大のテレビ局です。ビル・マーレイ演じるテレビ局社長フランク・クロスがスクルージの役回りです。とにかくコメディアンのビル・マーレイが笑わせてくれます。ビル・マーレイは、『ゴーストバスターズ』(1984年)で日本でも一躍有名になりました。1989年に『ゴーストバスターズ2』が作られ、これも大ヒット。2016年には、キャストを女性にした『ゴーストバスターズ』が作られ、ビル・マーレイもカメオ出演しました。そして、来年(2021年)には、最新作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』が公開される予定です。
 フランク・クロスのかつての恋人クレアに『レイダース/失われたアーク≪聖櫃≫』(1981年)、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』のカレン・アレン。フランク・クロスのかつてのボスのルー・ヘイワードにテレビドラマ『ダイナスティ』(1981年~1989年)のジョン・フォーサイス。フランク・クロスのテレビ局会長を『眼下の敵』(1957年)、『さらば愛しき人よ』(1975年)の名優ロバート・ミッチャムが演じ、晩年の元気な姿を見せています。フランク・クロスにクビにされる不運な社員エリオットに『ポリスアカデミー2 全員出動!』(1985年)で注目されたボブキャット・ゴールドスウェイト。『ポリスアカデミー3 全員再訓練!』(1986年)、『ポリスアカデミー4 市民パトロール』(1987年)でも同じ役を演じています。

 スタッフも豪華。製作は前年に大ヒットした『アンタッチャブル』(1987年)のアート・リンソン。製作総指揮はこの2年前(1986年)に『愛と哀しみの果て』(1985年)が日本で公開され、アカデミー賞作品賞と監督賞を受賞したことが話題になったシドニー・ポラック。当初はシドニー・ポラックが『3人のゴースト』の監督のオファーを受けたようです。監督は『オーメン』(1976年)、『スーパーマン』(1978年)、『グーニーズ』(1985年)で知られ、ちょうど『リーサル・ウェポン』(1987年)が大ヒットしたころのリチャード・ドナー。3人がちょうど旬のときに発表したのが『3人のゴースト』です。
 音楽は、ティム・バートン監督とのコンビで知られるダニー・エルフマン。同じ時期に『ミッドナイト・ラン』(1988年)、『ビートルジュース』(1988年)が日本で公開され、売れっ子になったころの作品。翌年(1989年)には、『バットマン』が公開されました。
 
 原題は、「スクルージ風の」という意味で“Scrooged”。ビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、ハロルド・レイミスの『ゴーストバスターズ』(1984年)が日本でも大ヒットしてまだ4年ぐらいのころ。『ゴーストバスターズ』のビル・マーレイが主演で幽霊が登場するというところから、『3人のゴースト』というタイトルがつけられたようです。

 1988年冬の興行の作品。1989年お正月映画として、実写とアニメの合成が楽しい『ロジャー・ラビット』(1988年)、ロバート・デ・ニーロのアクション・コメディ『ミッドナイト・ラン』(1988年)、日本・香港合作のSFアクション『孔雀王』(1988年)、ホラーコメディ『ビートルジュース』(1988年)、エディ・マーフィのコメディ『星の王子 ニューヨークへ行く』(1988年)といった大作といっしょに公開され、興行界を賑わせました。この時期の競合作と異なり、心温まる作品になっていて印象に残っています。前年(1987年)の冬の興行の作品『ニューヨーク東8番街の奇跡』(1987年)に続いて、2年連続でクリスマスシーズンに心温まる作品が観られたことも、このころの映画の思い出になっています。

 私は、『3人のゴースト』を京都の烏丸四条の京都産業会館8Fのシルクホールで行われた試写会で鑑賞しました。KBS京都ラジオで放送していた映画番組で試写会の案内がありました。応募したところ当選し、私にとって初めての試写会体験になったことも思い出です。

『3人のゴースト』(3)ストーリー

けんいち

管理人のけんいちです。 関西在住の映画の思い出ライター、映画グッズコレクターです。