クライシス2050(その1)

クライシス2050(1990年日本)Solar Crisis

【日本がアイデアを出し、ハリウッドが製作したSF大作!】

1. 「SF映画の時代」-日本のSF映画は?

 1977年(日本公開は1978年)に公開された『未知との遭遇』と『スター・ウォーズ』は、映画界に「SF映画の時代」をもたらしました。ハリウッドの映画会社は、こぞって宇宙を舞台にしたSF映画を作るようになりました。同時に、特撮(SFX)の技術も、飛躍的に発達しました。
 そんなハリウッドの動きは、日本にも影響を与えました。東宝は『惑星大戦争』(1978年)を作り、東映は『宇宙からのメッセージ』(1978年)を作りました。これらの作品は、それなりにヒットしました。しかし、『未知との遭遇』、『スター・ウォーズ』のSFXに比べるとそれらの特撮は、見劣りするものでした。

 それ以降、日本映画で宇宙を舞台にしたSFというと、『さよならジュピター』(1984年)までしばらく待たなければなりませんでした。『さよならジュピター』は、モーションコントロールカメラやCGを導入した野心作で、日本の伝統的な特撮からハリウッド流のSFX(スペシャル・エフェクツ=特殊効果)への脱皮を目指すものでした。しかし、『さよならジュピター』の後に続く宇宙ものの作品は、なかなか現れませんでした。『竹取物語』(1987年)は、ラストのマザーシップの場面でモーションコントロールカメラを使っていましたが、物語の舞台は地上でした。

 再び、日本映画で宇宙を舞台にしたSFは、しばらく待つことになります。そして、21世紀に入って『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(2010年)、『テラフォーマーズ』(2016年)が登場し、日本映画も、宇宙空間を1980年代より容易に描ける時代になりました。ただ、これらの作品はCGを主軸にしたVFX(ヴィジュアル・エフェクツ=視覚効果)映画。『さよならジュピター』は、ミニチュア特撮を中心にしたSFX技術を発展させようとしたのですが、その技術を継承する本格宇宙ものは結局現れませんでした。
 日本のSF映画は、平成ゴジラシリーズ(1989年~1995年)や平成ガメラシリーズ(1995年~1999年)を中心に、怪獣映画が主要作品となりました。SFX技術は、これら怪獣映画の中で発展していき、その技術発展がSFXからVFXへの転換を実現することになりました。

 さて、『さよならジュピター』後の日本発の本格宇宙もののSF映画として、世に出されたのが『クライシス2050』です。アイデアと資金は日本が出しました。そして、日本にSFX技術がないのなら本場ハリウッドで作れ!という具合で、製作はハリウッドに依頼というユニークな形態で作り出されました。

 私は、「クライシス2050」に大いに期待しました。予告編に登場する宇宙空間を進む宇宙船の美しさと、太陽の暴走をくい止めるためのミッションというテーマに本格SF映画の予感がしたのです。

 私は大学生のとき、『クライシス2050』を京都の京都ピカデリーのオールナイト興行で鑑賞しました。あまり評価の高くない作品ですが、劇場の大画面で展開される宇宙の旅を大いに楽しみました。

『クライシス2050』(その2)ストーリー

けんいち

管理人のけんいちです。 関西在住の映画の思い出ライター、映画グッズコレクターです。